あるIT関連社員の金銭事情IN中国

2006/05/26 16:42

  あるホワイトカラーの出納帳
  〜庶民は何故財布の紐をきつく締めて 支出を避けるのか?〜


    2006年4月27日
   ―人民日報 華南新聞―



 最近 “一般庶民の経済学”という概念を提案する人が現れた。主に市場に“高価すぎる”物品がどんどん多くなっていることについてである:住居費は高騰する一方で一般庶民が購入することは難しい。たとえ無理に購入したとしても、後に残るのは十数年〜数十年間にも渡って背負わなければならない“債務”である。教育費も高すぎる。一部の家庭では 熟考の末に子供に高考受験を断念させることを選らんだ。医療費も高額である。平価の医院も当分の間は 高額な医療費の問題を解決することは出来ないであろう…。




   お金はあっても、使いたくない。


 江蘇省統計局が先日公表した数字によれば、2006年四半期の江蘇省固定資産投資は以前加速を続けており、人民元の預金額も大規模に増額している。 1241.6億元の増加規模は確かにかなり大規模と言えるだろう。つまり江蘇省の住民は手元にお金を持っていると言うことだ。しかし専門家によれば、お金を持っているはずの江蘇省住民は しかし消費することを嫌い、消費額は低迷を続けている。同時に国家統計局がはじき出した数字にも、国民の預金額が2000年には初めて6万億間を超えたとあり、その後も毎年じりじりと上昇を続け、現在では14万億元という天文学的な数字になっている。鑑みるに 金銭的余裕があるのは江蘇省住民に限ったことではないようだ。


 金銭的余裕が出来れば 銀行に貯金する。一般庶民は財布の紐をきつく引き締めている。この事は 絶え間なく内需の育成を呼びかけ続ける ある種の経済学者にとっては、一つの大きな難題であり、その目標とするところと現実との間の明らかな隔たりである。以前 研究発表の場で 長期にわたって中国経済に注目を注いでいた 世界でも屈指のアメリカ人経済学者が論じるには:“中国は世界で最大級の備蓄量を擁している。”この学者は以前にも中国人学会に消費を呼びかけ、アメリカ人学会に備蓄を呼びかけたことがある。認めないわけにはいくまい・・・中国においては 政府をして国民に消費を薦めさせることは非常に難しいことである。





   未来に対する確信が持てない


 一般庶民が消費をしないのは その手中の出納帳に原因がある。ある人は職場に座って、給与明細をみてボンヤリと考える・・・毎月分納している部屋代を差し引いて、妻子の養育費を引き、食費を切り詰め モノを節約し、月末までには残り幾許もない。あるIT関連業務に携わるホワイトカラーの場合は以下のような勘定である:彼の年収は約7万元。中国では高給取りの部類に入る。しかし85万元の部屋を分割払いで購入し、頭金の20余万元を支払った後、彼はそのプレッシャーで青息吐息となっている。現在、毎月銀行に3600元の元利を支払っている他に、頭金の支払いの為 親友に借りた5万間の借金を分割して返している。彼が購入したのは“期房*1”であったため、彼は支払いを続けながらも入居することは出来ない。つまり現在の住居であるアパートの部屋代600元余も毎月平行して払っていることになる。彼は どうしようもないと言った体で話す:“今の僕の収入と支出は ちょうど綱渡りのようだ。少しでも気を抜くと、直ぐに赤字になってしまう。”ホワイトカラーでさえこうなのだから、肉体労働者やその他の職種の人間は言わずもがなである。


 住居費の他にも 教育費の支出は各都市の住民の心痛の種である。保守的な調査の統計では;都市の住民が 子供を一人大学卒業まで育てあげるには 約25万元を支出しなければならない。農村の家庭で一人の子供を大学卒業まで育て上げる頃には、借金まみれであると言っても過言ではない。自称“中流階級”の高収入族ですら、上記のような生活の現状に直面し 一様にプレッシャーの増加を感じている。大多数の庶民にとって未来とは予測の付かないものであり、それでも衝動的に 気分のままに消費をしようとする者などいるのであろうか?


 金銭的に余裕があっても、消費には回さない。市場は目がくらむばかりの華やかさだが、人々は豊かにならない。これが都市の住民の普遍的な意識である。





   巨大な生活プレッシャーの原因とは?


 可笑しいと思う人もあるだろう。年初には 暫くは下調が続くと大騒ぎされた住居価格だが、なぜ今動きがないのか?北京の庶民たちも冗談まじりにこう言う:天上でも“土が下る(黄沙による砂嵐を指す)”というのに、住居価格は下がらない。他方では各地の商品(部屋)の空室率がどんどん拡大しており、ほぼ七割の住民が 住居価格の高騰のため部屋を購入できないと言う現実に直面している。


 浙江省を例にとってみよう。去年度 都市内居住民の平均年収は約10.4%の増加を見せているものの、彼らが住居を購入する為の支出は 更に21.7%もの増加を見せている。住居費意外の支出・・・食品・衣料・医療・文化娯楽費用など各方面での支出の増加幅は平均約9.5%と 住居費ほどの増加はなく、同時期の収入の増加幅よりも低い。大多数の一般家庭にとって、目前の負担の大部分を占めるのが 住居費・教育費・医療費である。それらが 彼らの収入の大部分を占拠し、庶民の消費能力に重大な影響を与えている。






   “社保”の減圧を待ち望む


 庶民が今後の日常を考えたときに、こう思う。もしも頼りになる“社会保障”があれば、万が一生活の上で事故に遭ったとしても、地獄の底まで落ちることは避けられるのではないだろうか。


 社会保障は確かにキーとなる。しかし現在、健全な社会保障制度の全額を享受できるのは 公務員だけである。絶対多数の庶民に言わせれば、目下の“社会保障”の水準は 彼らに後顧の憂いを忘れさせるには全く不足している。党の十六大では明確に「社会保障体系を確立し、社会全体の統一的な計画と個人の利益が結びついた 老人保護・医療保険制度、完全な失業保険と社会救済制度を実施する」と記している。この宣言が実現されることを 庶民は首を長くして待っている。


 我が国の養老保険・失業保険・医療保険・国有企業退職者基本生活保障、ならびに居住住民の最低生活の保障などは 既に大きな進歩を見せている。しかし、全ての社会保障体系の現状と現実社会の需要と野間には大きな隔たりがあり、特に農村社会の保障体系については未だ試験段階である。つまり、我々の社会保障体系は未だ未完成であり、庶民の危機意識を拭い去ることは容易ではない。老後に備えて貯金をしようという意識を捨て去ることは難しく、今を生きる庶民は財布の紐をしっかりと締めることになるのである。


 (記者;王可)

すごーく!久しぶりに投稿しました。
・・・ただ単にサボってたんですが・・・
上記の記事をネットで見かけてコピーしたのが4月末って・・・・えらい昔です。
反省しきりですww

*1:またの名を楼花。1953年香港で深刻な住宅不足が発生した折に考えられた制度で、中国人の五大発明と言われている。完成する前のマンションの部屋を売りに出す方法で、部屋の購入者は図面上の部屋を購入する。しかし契約成立時点では、完成予定地には 何もない荒地を見るのみである。《SINA NET“期房は中国の五大発明、しかし予約の取り消しは困難である”より抜粋→http://house.sina.com.cn