第1位「二階建て寝台バス」―悟りを啓きたい貴方に。。。

いよいよ第一位。
二階建て寝台バスです。


これまで二階建て寝台バスに乗ったの経験は 3〜4回。


以前にも少し触れましたが、その威力には甚大な物があります。




↑この写真は二階建て寝台バスの二階に乗る、私と友人:SHU-ZIさんです。
見てお分かりかと思いますが、狭いです。



『写真に写るために 一寝台に二人座っているのかしら?』
     ・・・と目聡い方は推察されるかも知れませんが


もちろん、二人で一寝台です。




私たちはこの時、三人で旅行していました。
 ―写真と人数が合いませんね。


そう。 
残りの一人だった某T氏は、
男性だったばかりに、中国人男性と同じベッドで夜を過ごされました。


T氏。次の日の朝には
フォローも出来ないほど凹んでいました。
 多くは聞けなかったけれど、
 あり得ないほど、臭かったらしいです。



教訓;寝台バスに乗る予定のある旅行は、二人一組で行きましょう。



写真は中国南部:昆明に向かうバスです。
 寝台バスであるということは、
 つまり 車内で一泊する必要があるので、寝台バスなのです。


その寝台とは
 スチールパイプが 周囲を囲み、
 板の上に
 ぺしゃんこの敷布団、
 元の色が判別しづらい毛布、
 黒ずんだ枕がひとつ。
         ・・・というものです。


当然のように、クーラーは、ありません。
昆明は中国の最南部に位置します。


―冬でもぽかぽか暖かいです。


私たち乗客は
 昼は寝台に半身を起こして座り
 夜にはその寝台で眠ります。


が、運転手さんは その間も走り続けます。


走れば、揺れます。
 揺れが大きければ、身体が浮きます。
 浮いた身体は重力によって、煎餅布団に落下します。


横揺れが大きければ
 身体が吹っ飛んで、頭を鉄パイプで強打します。
   ―そのショックと痛み・・・言葉になりません。


カーブでは
 遠心力で隣の子に寄ってしまうため、
 全身を緊張させてそれを防がねばなりません。
   ―無言で遠心力に逆らっていると、身体の各部が攣りそうになります。



非常に面白い乗り物です。


ところで
 昆明行きならば シャレ(話のタネ)になる寝台バスも、
 走行場所がチベットとなると
 もうシャレでは済みません。


真剣に、本格的に、身体がおかしくなります。


まず、揺れ。
 チベットの道は、道ではありません。
 ただバスが・トラックが・ジープが通る 「ルート」であると言うだけです。


 当然、整備されている筈もなく
  石ころ、岩ごろ 転がり放題。
  段差、ひび割れ、小川に水溜り・・・
 それら障害物の上を通過するたびに
 過去には経験したことのないほどの揺れが、私の体を宙に浮かせます。


 コントのようですが、
  浮いて、
  天井にぶつかり、
  また床に戻り
  戻った瞬間に 車体が揺れ、
  身体は再び天井方面へと還ってゆきます。



身体中を踏ん張って、"MYポジション"を維持するなどという行為も
 床があるからこそ 出来るのであって、


 上記の通り、身体が床に着いていない状態では
  もう 揺れに身を任せて
  "衝突・迷惑、お互い様"・・・と割り切る他ありません。



そして、寒さ。
 昆明では暑さに悩まされましたが、チベットは高山。
 寒い寒い寒い寒い寒い寒い・・・
 一応 車内暖房も点いているのですが、
 窓際に座る私には全く効果がなく。
  (本当に毛ほども温かくない)


それどころか、窓が冷たいのです。
 「寒い」ではなく、「冷たい」


そして窓枠の隙間からは、隙間風(凍風)。


薄っぺらい綿入れ一枚では とてもじゃないですが、眠れません。


多分、眠ったら死にます。




最後に客層。


 昆明行きのバスも、所謂"労働者階級"が乗るバスでしたが、
 チベット行きは、
 さすが国内貧しさ№1の青海省からの出稼ぎ者が乗っている寝台バス。


 寝台座席は3人1寝台。
 後部座席は、文字通り‘座’でした。



そして私は後部座席下段で、黙然と"座"していました。


「後部座席下段」というのは「荷物置き場」と同義です。


 車内には寒さにも関わらず得体の知れない匂いが充満。
 足は伸ばせない。
 背もたれも狭い。
 荷物に挟まれて痛い・重い。
 時々揺れで荷物が私の上に落下して来るため、その度荷物を積み直します。
 寒い、寒い、寒い、冷たい。
 揺れる、飛ぶ、揺れる、飛ぶ。
 頭部激打。


体中節々が痛みます。
そして、寒さと車酔いで頭も痛い。
 ―まさに「忍耐力の限界にチャレンジ」です。




自分、最後には泣きそうになりました。
もちろん お腹も壊しました。
車酔いも当然ありました。
 (ただし車酔いを構っている余裕などは微塵もありませんでした)



"チベット寝台バス旅行"
 自分の忍耐力を試し、
 体力の限界に挑みたい。
   と言う熱意をお持ちの方には是非お勧めです。